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【開催報告】イスラームを知ろう!~日本人ムスリムの生活をのぞいてみよう~(2020年12月20日)

 一般財団法人青少年国際交流推進センターは、2020年11月1日(日)に開催したオンラインセミナー「イスラーム教を学ぼう!<入門編>」(詳細は、こちらをクリックしてご覧ください。)の第2回目として、2020年12月20日(日)に、オンラインセミナー「イスラームを知ろう!~日本人ムスリムの生活をのぞいてみよう~」を開催しました。
 当日は38名が参加し、イスラームに入信して生活をしているゲストのお二人から、イスラームに入信するまでの経緯や、ムスリム(イスラーム教徒)としての体験をうかがいながら、ムスリムの日常生活に触れました。

 セミナーの開会に当たり、Zoomの投票機能を使って、参加者の皆さんへ、「これまでに、日本人のムスリムと話したことがありますか?」と質問したところ、約4割の参加者が「あります。」、約6割の参加者が「今回が初めてです。」と答えました。

 はじめに、宗教法人日本ムスリム協会遠藤利夫理事・事務局長から、学生時代にアラビア語を学習したことをきっかけにイスラームに関心を持ち、神の前では全ての人が平等であるという、イスラームの宗教観・世界観に納得して入信したこと、そしてサウディアラビア留学時代にマッカ(メッカ)巡礼した体験を話しました。
 日常生活の中では、外出先や職場などでも、空きスペースを見つけて数分程度の礼拝を行っているが、その際に持ち運びに便利な礼拝用シートがあるということで、普段遠藤氏が実際に携帯しているプラスチック製の礼拝用シートを紹介しました。
 また、日本でムスリムが入りやすいレストランに関する情報は、もともとはムスリムが集まる場所での情報交換が多かったが、最近では、インターネットでの情報共有が進んでいるため、スマートフォンがあれば簡単にハラール・メニューを提供するレストランなどを検索できる、と紹介しました。

 続けて、水野リサ氏から、内閣府主催の青年国際交流事業「東南アジア青年の船」事業に2011年に参加した際、東南アジア各国のムスリムの参加者やホストファミリーとの出会いをきっかけにイスラームに関心を持ち、後にイスラームに入信し、マレーシア人のムスリムと国際結婚した体験、そして、入信後に大きな変化のあった衣食住の視点から、日本とマレーシアでの日常生活と子育ての様子を紹介しました。
 ヒジャーブ(スカーフ)の着用など、実践の度合いには個人差があり、自分と神との関係で選択し、個人の意思で実践していること、そのため、ヒジャーブの着用などの外見や行いからその人の信仰心を判断することはできない、と話し、自身がヒジャーブを着用して生活すると、最初は周りの目が気になったが、半年ほどで慣れるようになったこと、また、日本でヒジャーブを着用していると外国人だと見られたり、特別扱いされたりした経験を紹介しました。
 そして、イスラームでは全てのことに存在意義があり、それぞれに役割があることを知り、前向きに自分自身を受入れられるようになった、とイスラームに入信しての心境の変化を語りました。

 

 

参加者からの質問に答える遠藤利夫氏(左)、水野リサ氏(右)と、モデレーターの白鳥正信氏(下)

 

 参加者の皆さんからは、事前にゲストのお二人への質問がたくさん寄せられ、また、当日も、オンラインのチャットボックスに20を超える質問が寄せられ、ゲストのお二人から丁寧に回答しました。
 「日本人の多様で曖昧な宗教観について、明確な宗教を持つ海外の方にどのように説明しますか?」との質問に対して、遠藤氏から、「初詣やお墓参りなど、習慣として行っていることを、本人は宗教行為だと意識していないかもしれないが、海外の方から見ればそれらも宗教行為。日本人の多くが自分は無宗教だと考えていても、「無神論者」なのではなく、宗教心や信仰心は持っている、と説明します。」と答えました。
 ゲストのお二人から、職場や日常生活の中でムスリムとの関わりがある皆さんへ向けて、礼拝、断食やヒジャーブの着用などについて、ぜひ大らかな心で理解を示してもらえるとうれしい、とメッセージを送りました。
 これまでムスリムと触れ合う機会があっても、なかなか直接質問できなかったような疑問に対しても、ゲストのお二人から実際の生活の具体的なお話をじっくりうかがうことができ、日本人ムスリムのお二人の生活をのぞきながら、イスラームへの理解を深める機会となりました。

 最後に、ドバイの慈善団体、ムハンマド・ビン・ラーシド・アルマクトゥーム人道慈善団体からトートバックと『アラブからのメッセージ-私がUAEから届けた「3.11」への支援』(著者:ハムダなおこ(1987年「東南アジア青年の船」事業日本参加青年))を希望者に発送すると発表しました。

 次回セミナーは、2021年3月28日(日)10:00~12:00にオンラインで開催し、ハラールフードについて取り上げる予定です。詳細については、決まり次第お知らせします。
 

当日のオンライン参加者

<当日の参加者の声(実施後の参加者アンケートから抜粋)>

・ 失礼に当たるかと思い、今まで海外のムスリムの友人に聞けなかった質問に対し、丁寧にお答えいただけました。

・ 「肌の色で差別しない、誰もが選ばれて生まれてきた選民であり、神の代理人として生きる。」この言葉が新鮮だった。

・ 「自分に見えているものが全てではなく、もしかしたら見えないところで善行をしているかもしれない。良し悪しは神が決めることで、人間がジャッジできることではない。」というお話が印象に残りました。

・ ムスリムの信仰度合いは服装や生活スタイル等の見た目を含め、他者が判断してはいけないということ。これまでは、ヒジャーブをつけなかったりするムスリムの友人に対して勝手に、信仰心が低いのかなと思ってしまっていた。「他者をジャッジすることはできない」ということはムスリムのみならず、全てに通じると感じた。

・ 日本に住んでいると、つい他人と比べたり、横並びになることを意識したりしがちです。しかし、自分自身をきちんと主軸として捉える考え方は、信仰心に限らず、日常生活の中で大切にしたいマインドだと思いました。

・ 圧倒的なマイノリティであると思われる日本人ムスリムのお話を、個人的な入信のきっかけからおうかがいできたので、イスラームを知る良い機会となりました。

 

<主催> 一般財団法人青少年国際交流推進センター
<共催> 宗教法人日本ムスリム協会
<協力> 日本青年国際交流機構(IYEO)

<ゲスト>
遠藤 利夫
宗教法人日本ムスリム協会理事・事務局長
2020年11月1日に当センターが主催した「イスラーム教を学ぼう!<入門編>」に講師としてご協力いただきました。詳細は、こちらの開催報告をクリックしてご覧ください。
 1970年 拓殖大学商学部卒
 1970年 サウディアラビア国立マディーナ・イスラーム大学留学(3年間)
 1973年 (株)コマツに入社、在職中サウディアラビア・ジェッダ市に6年間駐在
 2009年 (株)コマツを定年退職
 2004年~2012 年 拓殖大学イスラーム研究所シャリーア専門委員会委員
 2012年 拓殖大学イスラーム研究所客員教授
 2014・2015年度 農林水産省 輸出戦略実行委員会ハラール部会委員

水野 リサ
内閣府主催の青年国際交流事業「東南アジア青年の船」事業に2011年に参加。同事業で、ムスリムの参加青年・ホストファミリーとの出会いを通して自分の生き方について考えるようになる。その4年後にイスラーム教に入信。翌年マレーシア人と国際結婚し、現在一児の母。
YouTube, Instagram, Facebook(それぞれクリックしてください。)などで日本人ムスリムの生活を発信中。

<モデレーター>
白鳥 正信
日本青年国際交流機構(IYEO)参与
SSEAYPインターナショナル(SI)事務局長
内閣府主催の青年国際交流事業に、1993年「東南アジア青年の船」事業日本参加青年、2003年「東南アジア青年の船」事業日本ナショナル・リーダー、2012年「国際青年育成交流」事業(ヨルダン派遣団)副団長として参加。

 

<お問合せ先>
一般財団法人青少年国際交流推進センター
 Email:i.seminar@centerye.org
 TEL:03-3249-0767

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