一般財団法人青少年国際交流推進センターは、イスラームへの理解を深め、より身近に感じられることを目的に「イスラームを知ろう!」と題するセミナー等をこれまでに15回、UAE現地体験モニターツアーを1回開催しました。そして今回、満を持して【イスラームを知ろう!~UAE現地体験スタディツアー~】を実施しました。
このスタディツアーでは、イスラームの正しい理解と交流を目的とし、アラブ首長国連邦(UAE)在住のハムダなおこさんと一緒にUAEを巡りました。UAE建国の父の名に由来するシェイク・ザイード・グランド・モスク訪問、UAE最高学府の大学訪問、広大な砂漠や山岳地帯見学、現地学生との交流、伝統衣装や家庭訪問、7つの首長国のうち、3~4か所を訪れ、一般の観光旅行では訪れることのできない場所を訪問し体験することで、イスラームの理解を深めることができました。
- 日時
- 主催/共催
- 参加人数
- 監修・現地同行
- スケジュール
- 主な訪問先
2025年4月25日(金)~4月30日(水)
企画:一般財団法人青少年国際交流推進センター/ ハムダなおこ
運営:日本イスラーム文化センター / Zanobia Tourism
協力:日本青年国際交流機構(IYEO)
9名(この他、当センター職員2名が同行)
ハムダなおこ氏
Date | Activity |
4月25日(金) | 到着オリエンテーション 18:00 夕食会 Dar Halabi Restaurant at Mall of Emirates |
4月26日(土) | 9:30 シャルジャイスラーム文明科学博物館 12時頃 日本UAE文化センター日本語学習者との交流 午後 ホームビジット |
4月27日(日) | 午前 Khor Fakkan 要塞見学 /Khor Fakkan Waterfall見学 午後 Al Bidya Mosque見学 |
4月28日(月) | 9:00~10:00 JETRO訪問 11:00~12:00 Al Farook Mosque訪問 午後 ゴールドスーク、スパイススーク、アブラ乗船など、このエリアで自由行動 |
4月29日(火) | 午前 New York Universityアブダビ校訪問 午後 大統領官邸内迎賓館(カスルワルアタン)、シェイク・ザイード・グランド・モスク訪問 |
4月30日(水) | 10:00~12:00 カリグラフィー体験 13:00~14:00 Space Centre訪問 ドバイモール内にてフリータイム 17:00 夕食会 |
4月26日
シャルジャイスラーム文明科学博物館
ハムダなおこ氏による説明ツアーが実施され、日本を含む西側諸国では「西洋文明により発明、発展」したとされる建築学、医療、天文学、防具、地動説、科学等々が、その400年以上も前にイスラーム文化圏にて既に発明、利活用されていた事実について、(前回のセンターイスラームセミナーに続き)再度実物模型等を示しながら説明を受けました。参加者はイスラーム圏の人の歴史観、事実認識が如何にその他世界の人と違うか理解を新たにした。
本UAE文化センターで交流→ホームビジット
ハムダなおこ氏が運営する日本UAE文化センターにて日本語を学ぶ生徒と交流をした後、参加者を4グループに分割し、日本語学習者4家庭を訪問しました。各家庭で昼食をいただき、現地家庭の文化を体験したり、伝統的な衣装の試着を行ったりと、UAEの方々の温かさに触れることができました。
4月27日
Khor Fakkan 要塞
イスラーム以前の歴史や文化について、ガイドの説明を聞きながら見学しました。
Al Bidya Mosque
モスク内にはお祈りの時間のみ、イスラーム教徒しか入れないため外観のみの見学を行いました。2018年9月にアル市で、イスラーム黄金時代に遡る1000年前のモスクの遺跡が発見されるまでは、このモスクはUAE国内最古とされるモスクだったとのことで、人々が大切に守り維持している様子を体感できました。
4月28日
JETRO
JETROを訪問し、調査部長の方からドバイの経済情勢に関する講義を受けました。ドバイのGDP成長率や、進出日系企業の数の推移など、UAE及び周辺諸国の経済の現況や変移の最新情報を学ぶことができ、参加者からも活発な質問が行われました。
Al Farook Mosque
このモスクは、イスラーム教徒以外にも初めて門戸を開いたモスクのひとつです。イスタンブールにあるブルーモスク(Blue Mosque)にインスピレーションを受けたデザインには、ブルーモスクと同じようなオットマン様式の中にアンダルシアの影響が見られ、特に装飾はモロッコのデザイン様式であるということでした。高さ30mを誇り、最大2,000人の礼拝者を収容するこのモスクは、UAEでも最大規模のモスクのひとつです。
女性の参加者はヒジャブとアバヤを着用し、モスク内を見学し、イマーム(指導者)から祈りやクルアーンの説明を受けました。昔は時計がなかったため、日時計を活用しお祈りの時間の目安をつけて祈りを捧げていたとのこと。ラマダーンの時期を知るために天文学が発展したことからも、イスラームは自然の原理、摂理を理解して発展していったことがうかがえました。
4月29日
New York Universityアブダビ校
2010年に設立されたNew York University 初の分校を訪問しました。アブダビ政府100%出資で設立されており、約120か国出身の学生が在籍し、約50か国出身の教員が働いているということでした(日本人は3名)。日本人の亀井謙一郎準教授の案内で校内を見学し、最先端の教育体制を視察することができました。
カスルアルワタン(大統領官邸内迎賓館)
5年3ヶ月の月日を費やして建設された迎賓館で2019年3月から一般公開されており、議会堂、国賓をもてなす大食堂、大図書館、その他公開されている部屋、展示物を見学しました。その巨大なスケール感、絢爛豪華な装飾に参加者は息をのむばかりでした。
シェイクザイードグランドモスク
イスラームの伝統的な建築様式を取り入れた約50,000人を収容する世界最大級のモスクであり、UAE初代大統領の Sheikh Zayed bin Sultan Al Nahyan が埋葬されています。多様性を受け入れる寛容な文化が国を発展させると考えていたため、モロッコ・アンダルシア・オスマン帝国の建築様式を融合しモスクを建設したとされています。その白い外観、豪奢な内装といった建築美は非常に素晴らしく、ガイドとともに一般の見学者は入ることのできないエリアまで入り、説明をきくことができました。
4月30日
ドバイ・ウィメンズ・アソシエーション
ドバイに住む日本人に向けて、イスラームやアラブの正しい理解を促進するためにハムダなおこ氏が外部講師を招いて開催するクラスに参加しました。今回はカリグラフィークラスに参加し、「お誕生日おめでとう」というメッセージをアラビア語の3種類の書体で書く書道体験を行いました。習字に慣れている日本人にとっては筆圧が強くなりがちで、流れるようにペンをもって書くアラビア語のカリグラフィーは難しい様子でしたが、練習を重ねるうちに上達し、メッセージカードにきれいに書けるようになりました。
Mohammed Bin Rashid Space Centre(宇宙航空局)
ハムダなおこ氏知己のMr. Rashed Ibrahim Bumelha (Senior Executive) から衛星打ち上げの歴史の説明を頂いた後、施設内(打ち上げロケット部レプリカ、管制室モックアップ等)を案内頂きました。通常立ち入れないクリーンルームを窓越しに見学することができました。
想像を上回る勢いで発展するUAEの宇宙事業を開発現場で直接見られた貴重な機会であり、参加者一同非常に感動しました。
歓送夕食会
マリオットホテル内のレストランにて、歓送夕食会を行い、スタディツアーを経て感じたこと、各自が興味を持ったこと等の話題で歓談しました。
ハムダなおこ氏の他、日本UAE文化センターの生徒1名と、今回のスタディツアーに協力していただいた現地旅行会社(Zanobia Tourism)の方も参加し、イスラームを知ろう!~現地体験スタディツアー~は終了しました。