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【開催報告】2022年7月23日(土)イスラームを知ろう! ~となりのムスリム:地域と生きるマスジド大塚「モスク見学/フードドライブ体験」~【現地参加(東京都)】

 日本に住んでいるムスリム(イスラーム教徒)の人口について、公的な統計はありませんが、ある調査では、2019年末時点で、日本人ムスリム約46,000人、外国人ムスリム約183,000人、合計約23万人のムスリムが日本に住んでいると推計されています。日本の全人口の1%に満たないマイノリティである彼らは、何を思って、どのように生活しているのでしょうか。

 今回の「イスラームを知ろう!」では、1991年にパキスタンから来日し、マスジド大塚を運営しているクレイシ・ハールーン事務局長をお迎えし、「人のために」と地域に根ざし、そこに暮らす人々と共に生きる想い、活動についてお話しいただきました。当日は10名が参加し、モスクの見学や炊き出し支援活動を行い、 日本に住むムスリムやボランティアの方々との交流を行いました。

 セミナー前半は、日本に住むムスリム家庭の小学生が多く通う、インターナショナル・イスラーミーヤ・スクール大塚にて行われました。日本イスラーム文化センター事務局長クレイシ・ハールーン氏から、文化センターが携わる地域支援活動の紹介や、イスラーム本来の教えなどをお話しいただきました。支援活動は、日本からアフガニスタン難民に衣類を届けるものから、家庭に眠る食品をコロナ禍で苦しむ大学生や子ども食堂に届ける「フードドライブ」まで、多岐にわたります。アラビア語の挨拶「アッサラーム・アライクム」には「あなた方に平安あれ」という意味があり、聖戦ととらえられることの多い「ジハード」には「努力」という本来の意味があるそうです。「イスラームは宗教ではなく生き方であり、全人類はひとつの大家族である」というお話は、大変興味深く、地域に根ざした支援を数多く行っている懐の深さは、ムスリムの教えが大いに活かされています。

 後半は、マスジド大塚へ移動し、モスクの見学を行いました。一階には女性用、二階には男性用の礼拝所があり、様々な国の背景を持つムスリムたちがお祈りを捧げていました。毎月第四土曜日には、文化センターが中心となり、東池袋中央公園で行われている生活困窮者への炊き出し支援活動を行っています。最上階のキッチンでは、インド人シェフによって作られたビリヤニ(インドやその周辺国で食べられるイスラーム風炊き込みご飯)が用意されており、毎月参加されているボランティアの方々と一緒に、ビリヤニ400人分をお弁当詰めしました。その後、フードドライブの仕分けを行っている現場を見学し、この活動を協同で行う慶應義塾大学の研究会「ムスリム共生プロジェクト」のボランティアの大学生から、活動の内容やご自身がイスラームに入信した経緯などをうかがいました。

 この数年、日本では各地にハラール食材店が増えたことや、東日本大震災の復興支援にムスリムがいち早く駆けつけたことなどから、人々のムスリムへの見方が変わってきているようです。今回のセミナーは、となりのムスリムを知り、彼らと交流することはとても楽しく、価値のあることだと教えてくれました。

クレイシ・ハールーン氏の話を聞く参加者
炊き出し用のビリヤニを詰める参加者とボランティアの方々
マスジド大塚の前で集合写真(当日参加者)

<当日の参加者の声(実施後の参加者アンケートから抜粋)>
・久しぶりに対面で、現地に足を運んで学ぶ機会でした。やはりオンラインでは得られないことばかりです。自己紹介したり、ビリヤニの匂いやモスクの明るさは直接そこにいるからわかるものでした。

・お祈りの時間などとても厳格に決まっているのかと思いきや、その回のタイムリミットまでにお祈りができなかったら次の回に2回分まとめてもOKなど、想像していたより寛容で柔軟な雰囲気に驚きました。また子供食堂やフードドライブなど、地域のコミュニティに寄り添い貢献する姿勢も印象的でした。

・イスラームについてはメディアなどから様々なイメージを受けてしまうため、直接お話を聞ける機会があると正しく理解でき、安心感や親しみにも繋がると思いました。

・多様性についても、イスラーム自体が国やバックグラウンドやムスリムかも関係なく「みな家族」という教えなので、多様性を受け入れることへの理解にも通ずるものがあると思いました。

・ハールーンさんの素晴らしいお人柄に、イスラームを超えてお話が伺え良かった!という気持ちでいっぱいです。他者を思いやり行動することがコミュニティの中でもっと広がるためにはこのような機会が多くあるべきだと思いました。

<主催> 一般財団法人青少年国際交流推進センター
<共催> 日本イスラーム文化センター マスジド大塚
<協力> 日本青年国際交流機構(IYEO)

<スピーカー>
クレイシ・ハールーン(Haroon Qureshi)

日本イスラーム文化センター 事務局長
1966年生まれ。パキスタン・ラホール出身。1991年に留学生として来日し、日本語を学ぶために日本の大学に入学。その後、ITの学校を卒業。現在は貿易会社を経営する。日々の業務の傍ら、日本イスラーム文化センター事務局長を務め、豊島区にあるマスジド大塚(モスク)の運営や国内外での支援活動にも携わっている。マスジド大塚には創立時から関わっている。

<モデレーター>
齊藤 愛子
内閣府主催の青年国際交流事業に、2004年「東南アジア青年の船」事業日本参加青年として参加。その後、2009年、2017年、2019年に、同事業管理部員として従事。
第1回「イスラームを知ろう!」からの企画・運営を行う。多様性の理解が人のこころを平和にすると信じており、「イスラームを知ろう!」を多くの人に体感してほしいと奔走中。

※ 過去のセミナーの開催報告は以下リンクからご覧ください。
◆第1回:イスラーム教を学ぼう!<入門編>(2020年11月1日開催)
◆第2回:イスラームを知ろう!~日本人ムスリムの生活をのぞいてみよう~(2020年12月20日開催)
◆第3回:イスラームを知ろう!「ハラールフードってなに? 〜専門家に聞くムスリムの食事とおもてなし〜」(2021年3月28日開催)
◆第4回:イスラームを知ろう!~ハラールフード料理教室(カプサ)~【オンライン】(2021年9月26日開催)
◆第5回:イスラームを知ろう!~ハラールフード料理教室(マクルーバ)~【オンライン&現地(東京都)】(2021年11月23日開催)
◆第6回:イスラームを知ろう!~日本人ムスリマが見つけた、心豊かな中東イスラーム社会の暮らし方~(2022年1月30日開催)
◆第7回:イスラームを知ろう!~ハラールフード料理教室(シシバラク、バクラワ)~【オンライン】(2022年2月23日開催)
◆第8回:イスラームを知ろう!~断食は“入り口”なだけ。人生をリセットする「ラマダーン」~【オンライン&現地(東京都)】 (2022年4月10日開催)

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問合せ先:一般財団法人青少年国際交流推進センター
TEL  03-3249-0767
Email  i.seminar@centerye.org

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