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【開催報告】イスラーム教を学ぼう!<入門編>〜日本人から見たイスラーム教のあれこれをわかりやすくお話しします〜(2020年11月1日)

 一般財団法人青少年国際交流推進センター(以下、推進センター)は、2020年11月1日(日)にイスラームの基本を学ぶ「イスラーム教を学ぼう!<入門編>~日本人から見たイスラーム教のあれこれをわかりやすくお話しします~」をオンラインで開催しました。当日は、53名が参加し、イスラームの基本となる六信(六つの信じること)や五行(五つの行うべきこと)を講師の宗教法人日本ムスリム協会遠藤利夫理事・事務局長の説明および解説から学びました。

 

 

 

 


(右)遠藤利夫理事・事務局長と(左)司会の田島如子

 

 まず初めに、推進センターの大河原友子理事が主催者として挨拶。本セミナーの実施経緯と、多くの日本人の方がイスラームを理解したいと考えつつも学ぶ機会がない現状を説明。今後も推進センターが学びの場を積極的に設けたい意気込みを話しました。

 イベントは、遠藤氏が簡単な自己紹介をした後、イスラームの概要説明からスタート。ムスリム(イスラーム教徒)の人口世界分布やイスラームでよく使われる用語を説明。「ラマダーンはイスラーム暦の9月を意味しています。ラマダーンの意味を断食と思っている方が多いですが、本来断食を意味する言葉はサウムと言います。」とコメント。他にもクルアーン(コーラン)の説明を行い、イスラームの中でも特に基礎となる部分を解説しました。

 次のセッションでは、イスラームの教えの基本となる六信五行について説明しました。まず、ムスリムが信じるべき、六信(信仰箇条)、①神、②天使、③啓典、④預言者、⑤来世、⑥天命を一つずつ解説。天使の説明の部分では、司会者の田島如子が、「イスラームに天使がいることに、今までイメージがありませんでした。」と驚きを表現しました。遠藤氏は「神アッラーからムハンマドに啓示が下されるが、実はすべて天使を通している。天使は良いことをするイメージがあると思うが、反旗を翻して、悪魔になったものもいる。沢山の諸天使がいて皆役割が違う。」と述べました。六信に対して参加者からも「イスラームに入信するにはアラビア語が読み書きできることが必須なのでしょうか」、「イエスの福音書やノア、ダビデも信じるということは、他の宗教も認めているということでしょうか」と質問が出され、イスラームと他宗教との共通点や違いを比較しながら学びを深めました。

 

 

 

 


天使について答える遠藤氏

 五行の説明では、ムスリムが普段実践するべき5つの項目を解説。①信仰の告白、②礼拝、③喜捨、④断食、⑤巡礼と順に説明。礼拝(サラート)の部分では「イスラームでは清潔にすることが大事。清潔は信仰の半分である。不潔のまま礼拝しても無効になる。」とコメント。1日5回礼拝を行うこと以外にも重要となる部分を説明し、参加者の多くの興味を引きました。質疑応答でも、「国際線で長時間飛行機にいるとき、礼拝はどのようにしているのでしょうか」や「COVID-19で巡礼はどうなりましたか」とムスリムの生活への関心度の高さが伺える質問が多く出ました。

 終盤となるイスラームの価値観のセッションでは、人生観(宗教観)について学びました。預言者ムハンマドの生き方を模範として暮らすことや家族をとても大事にすること、災害・災難をどのようにとらえるかについて説明。「日本人は、災害後自分だけが生き残ってしまった場合、自責の念を抱く人が多い。しかし、イスラームではその受け止め方は違い、全てのことには意味があり、人間は弱いものであり、アッラーの御許に帰ると考え、そこからのより良い人生を考える。」と日本の一般的な考え方とは異なる価値観のケースを多く紹介しました。

 質疑応答では、オンラインのチャットボックスに20を超える質問が出ました。「調味料にお酒が入っている場合はNGでしょうか。例えば醤油にもアルコールが入っていることがあります。」など日本だからこその質問が多く出ました。「みりんはダメですね、入れないほうが良い。」と遠藤氏は即座に答えましたが、「でも知らなくて入れてしまったものは罪ではない、もし誤って入れてしまった場合は自分をせめなくて良い。日本に来るムスリムは、皆日本のことを知りたがっている。ぜひ沢山日本のことを伝えてください。」と回答し、参加者に暖かいエールを送りました。学術的な質問から、普段感じていた小さな疑問まで、終了時刻まで賑やかな質疑応答となりました。

当日のオンライン参加者

 最後に、ドバイの慈善団体、ムハンマド・ビン・ラーシド・アルマクトゥーム人道慈善団体からトートバックと『アラブからのメッセージ-私がUAEから届けた「3.11」への支援』(著者:ハムダなおこ(1987年「東南アジア青年の船」事業日本参加青年))を希望者に発送すると発表しました。この嬉しいサプライズには、マイクはオフでしたが参加者の笑顔がオンライン上で見えた瞬間でした。

 そして、推進センターの白鳥正信が、次回セミナーを12月20日10:00~12:00にオンラインで開催することを発表し、イベント終了となりました。次回セミナーの詳細は、こちらをクリックしてご覧ください。

 

 


ムハンマド・ビン・ラーシド・アルマクトゥーム人道慈善団体からのトートバックと『アラブからのメッセージ-私がUAEから届けた「3.11」への支援』(ハムダなおこ著)を手に持つ本セミナーの企画者の齊藤愛子

 

<当日の参加者の声(実施後のアンケートから抜粋)>

・六信五行について、イスラームの教えの根幹のような部分を知ることができて良かったですし、今後ムスリムの友人と会う際の参考にしたいと思いました。

・私はイスラーム教圏の方とお会いしたことがないので過激派のイメージが強く排他的な宗教のイメージがありましたが、今回の学習会では真逆の事ばかりで目から鱗でした。

・参加者の方々の質問。自分では思い浮かばない質問が多く、他人の質問からの学びがとても多かった。

 

<主催> 一般財団法人青少年国際交流推進センター
<共催> 宗教法人日本ムスリム協会
<協力> 日本青年国際交流機構(IYEO)

<講師紹介> 遠藤利夫氏
 宗教法人日本ムスリム協会理事・事務局長
 1970年 拓殖大学商学部卒
 1970年 サウディアラビア国立マディーナ・イスラーム大学留学(3年間)
 1973年 ㈱コマツに入社、在職中サウディアラビア・ジェッダ市に6年間駐在
 2009年 ㈱コマツを定年退職
 2004年~2012 年 拓殖大学イスラーム研究所シャリーア専門委員会委員
 2012年 拓殖大学イスラーム研究所客員教授
 2014・2015年度 農林水産省 輸出戦略実行委員会ハラール部会委員

<お問合せ先>
一般財団法人青少年国際交流推進センター
 担当:齊藤・田島
 E-mail:i.seminar@centerye.org
 TEL:03-3249-0767

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